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Story

土佐のお酒は「お料理に合わせて」が基本となります。酔鯨はこれを更に追求することで「食中酒」としての魅力を磨いてきました。あくまでお料理が主役となり、“旨みが有りながらもキレが良く”、“香りおだやかな”お酒が目標です。吟醸酒においても、おだやかな香りと後味のキレ(ほどよい酸味)を大切にし、お料理の良さを引き出しながら杯を重ねられるお酒に仕上げております。​

そんな一献の味わいを生み出す酔鯨の物語が、そこにはあります。

豊かな自然が生み出す恵みの雨

恵み

「水」は日本酒のおおよそ8割を構成するため、味を決める上で重要な要素の一つです。また、日本酒の製造に関わる水は仕込用の水だけではなく、醸造器具やビンの洗浄にも多量の水を使用します。よって水は日本酒製造業者にとってとても重要な資源です。

酔鯨酒造のある高知県は太平洋を眼前にし、「海の国」のイメージの強い県ですが、森林率(ある地域における森林面積の割合)が日本一(84%)である、「山の国」でもあります。また高知県は年間降水量も日本一であり、降り注ぐ多量の雨は“緑のダム”とも呼ばれる広大な森林に蓄えられ、そしてゆっくりと時間をかけて清冽な湧水として川へ送り出され、その水は途切れることを知りません。これはまさに自然の恵みであり、私たち酔鯨酒造はこの恵みのもとに酒造りを営んでいます。

雨の雫は、鏡川の上流で酒の源となる

厳しい酒造り環境なればこそ、

独自の技を研鑽

造り

酔鯨の仕込み水は高知市の北部、土佐山地区の湧水です。降雨量が多く、水資源の豊かな高知県にあっても水量の豊富な鏡川の上流域、この地区で取れる源流水にこだわっています。このお水には酒造りには適さない鉄やマンガンなどは含まれておりません。また、土佐山地区は周囲を山に囲まれており人の生活空間からは離れており、自然のろ過を経て湧き出るお水は新鮮です。新鮮であることは出来上がるお酒にも受け継がれ、味にキレが有り、品質の劣化が少ないお酒に仕上がります。

また土佐山地区では、そこで育まれる豊かな生態系のもと、水資源も守られてきました。この土佐山地区から流れ出る鏡川は水質の良さや豊かな自然環境、またその水環境を守り続けてきたことから平成20年、環境省の「平成の名水百選」に選ばれました。先人たちが守り続けてきたこの環境、その力を頂きながらお酒造りが出来ること、このことは何よりも有難くまた感謝しております。

高知県・南国土佐は、決して酒造りに恵まれた環境ではありません。温暖な気候・多雨多湿の環境は、微生物の営みを利用する酒造りにおいてむしろ厳しい環境と言えます。このような厳しい環境の中で土佐の先人たちは志高く技を磨き,南国土佐にしか生まれ得ない土佐の清酒を誕生させました.

 私たち酔鯨酒造はそうした土佐の清酒の中で、独自に、食事と共に楽しめるお酒“食中酒”をテーマに土佐の食文化と共に進化してきました。現在では土佐の食文化に留まらず、世界の食文化にもインパクトを与えることができる、新しい日本酒の製造に挑戦しています。

米の味わいを最大限に引き出すこと

清酒造りの主原料であり、味わいを決める重要な役割を担っているのがお米です。全国各地にはそれぞれの個性を持つ、酒米があります。酔鯨では全国各地よりその酒米を取り寄せています。そしてその酒米が持つ個性を最大限に引きだすため、1つの商品では同一品種、同一精米歩合のお米しか使用しません。さらに原料米以外の要素(酵母の種類、造りの方法)はなるべく変えずに仕込みをおこなっているため、商品ごとに酒米の特徴をお楽しみいただけるラインナップとなっています。

さらにお米の良さを最大限に引き出す為、精米は可能な限り磨く(精米歩合が低い)ように取り組んでいます。自社基準による商品分けは、大吟醸酒は精米歩合40%以下(規格は50%以下)、吟醸酒は50%以下(同60%以下)、純米酒は60%以下(同基準なし)としています。精米歩合を下げることは原料費の増加に繋がりますが、目指すお酒の為に妥協することなく取り組んでいます。

そして、世界で愉しむ日本酒へ

To the world

桂浜の風土が育んだ想いを込めて

風土

寿司や和食と共に日本の食文化は世界中に広がり、それらの和食と楽しむお酒として今やワールドワイドになった「日本酒」。昨今の世界的なジャパンブームの流れで、日本酒は、今世界中の多くの都市で楽しまれるようになりました。しかしながら、海外で日本酒を楽しめる場所は、レストランやホテルなどまだまだ特別な場所の特別なお酒という感じになっています。そこで酔鯨では、世代を超え、もっと世界中のより多くの方に普段のライフスタイルの中で日本酒の楽しみ方を体感していただくために、「Enjoy SAKE Life」をテーマとしたイベントを積極的に展開しています。この国内外で行っている酔鯨のコミュニティーイベント「酔鯨E.S.L会(Enjoy SAKE Life)」は、日本国内をはじめ、NY、パリ、ベルリンなど世界の数都市でも開催し、日本酒・酔鯨を通して日本酒好きの仲間が集まるコミュニティーを世界に広げていきたいと考えています。

酒造りにかけるひたむきな匠の技と

酔鯨の蔵がある高知県(特に沿岸部)は冬季の仕込み期間中でも気温が高く、微生物の営みを利用する酒造りには困難が伴います。現在では冷房設備が発達し、気温による影響は少なくなりましたが、酒造りにとっては厳しい環境であることに変わりはありません。そこで酔鯨では、全ての造りにおいて「適切なサイズでの少量仕込み」「しっかり造った麹による健全な醗酵」の2点を心がけています。少量仕込みとすることで、きめ細かな温度管理が可能となり、醗酵に適した良好な環境を維持することが出来ます。また麹をしっかり造ることで、原料米の溶解と醗酵のバランスが取れ、健全な醗酵が実現します。気温が高い土地でお酒造りをすることは困難を伴いますが、だからこそ特色のあるお酒造りも可能となりました。麹をしっかり造り、健全な醗酵をすることで適度な酸味が生まれ、キレの良いお酒に仕上がります。これは酔鯨を特徴付ける大きな一つとなっています。

土佐の食文化は豊富な海の幸、山の幸により育まれてきました。黒潮によりもたらされる鰹はもちろん、豊かな海産物、様々な山の幸は、季節ごと様々なお料理となり食卓を飾ります。その多くは、素材の良さを生かしたお料理です。土佐の宴会には欠かせないお料理、それが皿鉢料理です。皿鉢料理とは海、山の素材を使い作ったお料理を一つのお皿に盛り付ける宴会料理の一つです。お刺身から天ぷらまで、大きなお皿に盛られたお料理に合わせてお酒を楽しみ、会話を楽しむというのが土佐の宴会です。こんな食文化、宴会文化がある土佐では、お酒の味わいは、自然と「お料理に合わせた味わい」、「お料理を引き立てる味わい」が求められます。

酔鯨の味わいも、食事とともに楽しめる“食中酒”をあくまで追求してきました。雄大な桂浜に想いを馳せ、自慢のお料理とともに、あるいはお気に入りのお店でお料理と共に、そんなスタイルに応えられるお酒を提供していきたいと日々酒造りに取り組んでおります。

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